天台青年連盟全国大会福島結集
天台仏教青年連盟全国大会
福島結集
大会テーマ 「努めよ努めよ」
講師 天台宗ハワイ別院院長 荒 了寛 師
講演 「天台仏教海外伝道の意義と課題」
7月1日(水)~2日(木)に、平成21年度の天台仏教青年連盟全国大会『福島結集』が郡山磐梯熱海温泉のホテル華の湯にて開催された。
全国の仏青会員、約143名ほど(参加者名簿より)が集い、講師である天台宗ハワイ別院院長・荒了寛師のお話を熱心に聴講した。
開式 天台仏教青年連盟副代表 山田清隆師
法楽 天台仏教青年連盟代表 寺門俊明師
挨拶 天台仏教青年連盟代表 寺門俊明師
祝辞 天台宗参務社会部長 源田俊昭師
祝辞 福島教区宗務所長 渡邉亮海師
閉式 天台仏教青年連盟副代表 高倉聖法師
●講師紹介●
1928年福島県生まれ。
10歳で仏門に入る。
大正大学大学院博士課程(天台学専攻)修了。
現天台宗ハワイ開教総長としてハワイ在住。
ハワイおよびアメリカ本土で布教活動に従事。
その傍ら、ハワイ美術院、ハワイ学院日本語学校などを設立、日本文化の紹介、普及に努める。
独自の画法による仏画も描き、サンフランシスコ、ボストン、ニューヨークなどで個展を開催。
日本各地でも毎年個展を続けている。
講演は、「数ある因縁が結びついてハワイに行くこととなり、そしてその因縁により今日この場に立ち、青年会の皆さんに話すことができた」という話から始まった。
80歳になる荒師が35年の開教総長の経験を通して、なぜハワイに行ったか?そしてなぜ天台宗がハワイに開教したのか?などのいきさつについて1時間20分ほど話しをされた。
幼少のころ荒執行の元へ養子に入り、荒了寛というい名前を頂いた。荒執行は学問も大事だが、お寺の運営をどのようにしたらお寺がもっと良くなっていくかという考えを持つお人だった。戦後、徳川家が衰退していく中で、寛永寺住職となった荒執行は、寛永寺の土地を売り墓を造り檀家制度を設け、寛永寺の復興を進めた。
そんな指導は今のハワイ布教の姿勢にも生かされているという。
その後、もう一度勉学に励むために大正大学に入学し、関口真大先生と出会う。そんな中、羽場慈温大僧正から電話があり「ハワイへ行ってくれないか。あなたのような人がハワイへ行ってくれると助かる。」と言われ、悩んだ末、天台宗の役に立つのならばという思いでハワイ行きを決められた。
また、御子息を入院させられるいい病院がハワイにあるため、一家をあげて、すべての仕事を捨ててハワイに渡った。
寛永寺の杉谷義周大僧正、深大寺の谷堯昭大僧正、それに羽場慈温大僧正の呼びかけにより一宗からの協力を得て、各寺院より寄付を集め、足りないところはご自身の経験を生かし、仏像の複製品を販売し開教の第一歩を踏み出した。
しかし、以外にもハワイは仏教が盛んな土地で、すでに他宗のお檀家さんになられている方を天台宗に、とはいかない。
お檀家さんになってくれる人がいなければ、寺も守れないし、明日の食事にも困ってしまう。
そんな時、ハワイに働きに出た日本人が永住し、あやふやな日本語になっているのに気付いた荒師は日本語学校を設立し、生計を立てた。
35年間の開教生活でのハワイ別院のお檀家さんは4人だけ。
永住されている方の大半がすでに他宗のお檀家さんになられている。
宗派によっては、お檀家さん達で僧侶の生活の面倒を見るのでハワイまで来てくれと頼む方もいる。
天台宗はもっと力を入れて開教に臨んでもらいたいとの、厳しい内情も明かせて頂いた。
日本人の良いところである、檀家さんにお寺を守っていただくシステムが、すでに仏教が浸透しつつあるハワイでは逆に天台宗の布教に歯止めをかける。
檀家制度は大事に守らなければいけない。しかし檀家制度だけではこれからはやっていけない時代が来るであろう。
インターネットが発展していく現代では、次世代の子供たちへ向け、こちらから発信するようなお寺にならなければいけない。
世界の宗教に比べたら天台宗はまだまだ遅れている。日本の青年僧も国際部門を作り、海外の宗派と交流していくべきである。
荒師は、「天台宗の思想そのものがハワイに渡り、初めて仏教が布教される。そんな時代がきっと来るであろう」と言葉を残し講演は終了した。
二日目の移動研修は、飯盛山(白虎隊自害した場所)、栄螺堂(さざえどう。特異な建築様式の仏堂。重要文化財)、会津武家屋敷(焼失した会津の文化を蘇らせた屋敷。重要文化財の旧中畑陣屋を中心にしたミュージアムパーク)を見学し、二日間に渡る結集は幕を閉じた。